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タカザワゼミ体験記② 辻悠斗

HPF2022開催に先駆けて行われた、写真評論家のタカザワケンジ先生のゼミを受講した感想を書いていこうと思う。


まず始めに、私は今回初めてタカザワゼミを受講した。2019・2021年のポートフォリオレビューで作品は見てもらっていたが、ゼミを受けたことがなかった。

(2020年のHPFの時にゼミに申し込んだが、コロナでHPF自体が無くなってしまった。)


地方在住の私からしたら、本や画面の中にいる写真評論家がわざわざ北海道に来てゼミを開くなんてとても貴重な機会じゃないか!と思いすぐに申し込んだ。ちょうど今年は初の東京での個展と出版があり、一度しっかりと写真を見てくれる人に見てもらう必要があると感じていたので絶好のタイミングだった。




ゼミは前半が写真史のレクチャー、後半がレビューの2部構成となっている。

前半の写真史は現代写真を中心に、ダゲレオタイプから現代アートとして扱われる写真まで幅広い内容で構成されており、タカザワゼミを受講するだけで写真史・写真集史の基礎知識はバッチリである。


個人的にダゲレオタイプ辺りの写真史が疎かったのでその辺りを学べたのが大きかった。

レクチャーの際にタカザワ先生の写真データベースを見ながら受講できる。

過去の名作を見ながら学べる環境があるのは知識としても入りやすいので学ぶ側としてもありがたいなと感じた。(牛腸茂雄の見慣れた街の中でを見れたのがとても嬉しかった。)


後半のレビューは受講者の作品を持ち込み、机の上に並べた写真をタカザワ先生が見て行くといった流れで行われる。初回は並べた写真を前に作家の考えや言葉を基に、写真を抜いたり配置を変えたりする。残った写真をベースに次回は新作を持って行き、対話を繰り返すことで作品をブラッシュアップする。

対話するということは考えないないとできないので必然的に自分と自分の作品について向き合ういい機会にもなる。


回ごとに異なるシリーズを持ち込み、いい評価をもらった作品をベースにして作って行くやり方もあるが、個人的には一つのシリーズを持ち込むのがいいと感じた。ある程度ベースを残しておいて次の作品を持って行く方が作品の変化や作家自身の考え、視点の変化なども見えてくる。タイトルや文章も見てもらえるので持っていくことを勧める。


私はゼミを受講する直前はスナップ、都市、植物、日常などの写真を撮っていた。

初回はタカザワ先生に私の写真の暴力性を心配されたが、回が重なるにつれて写真の内容が変化していった。徐々に植物と日常写真、セルフポートレートが増えていき、私写真に寄っていった。

元々、作家の私性や他者との関係性が気になっていたが自分では形にできていない段階だった。しかし、写真を通してタカザワ先生やゼミ生と対話することで何本かある軸が削ぎ落とされ、潜在意識のようなものが形になっていったと思う。


5回のゼミを終えて作品がまとまったとは言えないが、今まで自分の中にあった土台が強固になった。アカデミックな場で作品を見てもらうことは今後の作品制作にプラスに働くことは間違いない。私のように作品制作で迷っている人やこれから作品を作りたい人はタカザワゼミを受講してみてはどうだろうか。


辻悠斗





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